「南蛮エビなめろう」これぞ酒泥棒!目が覚めるコクとうま味

コクハク編集部
更新日:2020-11-21 06:00
投稿日:2020-11-21 06:00
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は新潟・新発田の寿司の名店「登喜和鮨」の中小林宏輔さんに、新潟の特産・甘エビを使った「南蛮エビなめろう」のレシピを教えていただきました。

これは…おちょこがとまらない!

 秋の夜長、ぬる燗をチビチビやるなぞオツですが。アテは、何がいいものでしょうか。

「これなんてどうです? 酒の1升も飲めますよ」

 差し出された小鉢の中には、黄金色の粒々が。これは?

「南蛮エビのなめろうです。生のエビの身と頭の味噌を、酒、醤油、卵黄と合わせてまぜ、細かく叩きました」

 なるほど。アジのなめろうは有名ですが、エビのそれはお初です。一口つまんで舌の上で転がすと……ものすごいコク! コクの塊です。ああ、確かにこれなら1升いけそう。

「隠し味にご飯を使っているんです。エビのコクはエグ味と表裏一体。米の甘さでバランスをとっているんです」

 なんと、ご飯を調味料に使うとは。北国の伝統食、飯鮨のエビ版を作れないかと考えたそう。南蛮エビ、いわゆる甘エビは新潟の特産。さすが地元食材を生かす名手です。味の決め手は、エビの頭の味噌。新鮮なものが手に入らなければプロセスチーズを溶かして、酒でのばしたものでもOK。ウニでも一味変わるそうです。

 しかし、とんでもない酒泥棒。作るなら酒はたっぷり用意すべし。

【材料】

・甘エビ 10本
・ご飯(ピンポン球くらいの量)

〈A〉
・卵黄 L玉半分
・酒 大さじ1
・濃い口醤油 大さじ2
・塩 適量

【レシピ】

(1)甘エビの頭を外して味噌を取り出し、包丁で叩く(脳天の赤黒い袋は臭みの原因になるので捨てる)。身は皮をむき、軽く塩をふり全体をペーパーで包み水分を抜く。
(2)鍋に<A>を入れ木ベラでよくまぜてから、火にかける。木ベラですくって落ちないくらいの硬さになるまで練る。
(3)冷ました②とエビの身、ご飯をまな板の上に乗せてひたすら叩く。塩で味付けして完成。

本日のダンツマ達人…小林宏輔さん

▽小林宏輔(こばやし・こうすけ)
 1979年、新潟県新発田市生まれ。東京の魚問屋が営む鮨店「魚真」で板前修業を積み、2010年に帰郷。17年のリニューアルを機に「登喜和鮨」3代目を襲名。

▽登喜和鮨
 新潟県北部に位置する新発田市に昭和29年創業。飯豊連峰の山の幸と日本海の海の幸、それぞれの素材を引き出すことにこだわる。近ごろは県外からも多数来客。地酒も数多く揃える。新潟県新発田市中央町3―7―8。

(日刊ゲンダイ2019年11月28日付記事を再編集)

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

フード 新着一覧


「サバと大根の湯揚げ」醤油とバルサミコのポン酢ソースで
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は山形・鶴岡のイタリアン「アル・ケッチァーノ」の奥...
「叩き長芋と酒盗の磯辺巻き」日本酒好きにはたまらない!
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・築地の和食店「魚菜 まる富」の富成勝さんに...
刺し身を使った簡単アレンジ「カツオとウドのなめろう」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・学芸大学の居酒屋「件」の川辺輝明さんに、居...
「つぶしなます」盛りつけ前に指でギューッとつぶすのがコツ
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・品川の「あじろ定置網」の西潟正人さんに、ウ...
ホクッとプリプリ「そら豆とエビのクリームチーズ和え」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・外苑前の「ごはんやパロル」の桜井莞子さんに...
白ワインと一緒に「ソーセージとクレソンのペペロンチーニ」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は山形・鶴岡のイタリアン「アル・ケッチァーノ」の奥...
「イワシのリングアータ」脂の乗った身をサッパリといただく
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・渋谷の隠れ家イタリアン「ピノサリーチェ」の...
自家製の万能ダレが食欲をそそる「手羽先の甘だれ炒め煮」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は兵庫県・加古川のビストロ「ビストロ・エピ」の宮崎...
「アジのパクチーなめろう」和の肴とパクチーの意外な好相性
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・神宮前のカレーバー「ヘンドリクス」の若林剛...
春の味覚「ホタルイカとカブのマリネ」はひと手間でプロの味
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は横浜・野毛のビストロ「ジィーロ」の市川路朗さんに...
使う食材は2つだけ「菜の花のからし和え」は春らしさ満開!
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・銀座の老舗和食店「はち巻岡田」の岡田幸造さ...
「イカ海鮮水餃子」出汁たっぷりの卵と海鮮の甘さがピッタリ
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・神宮前の中華料理店「チャイナサーカス」の劉...
スパイシーさが新しい「カツオと山芋のスパイスオイル和え」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・神宮前のカレーバー「ヘンドリクス」の若林剛...
「カキのワイン蒸しトマトサルサ添え」濃厚なのにサッパリ
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は横浜・野毛のビストロ「ジィーロ」の市川路朗さんに...
あっさり「ベーコンと玉ネギの和え物」は箸休めにうれしい
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・末広町の和食店「神田明神下みやび本店 」の...
新潟の伝統調味料がいい仕事する「タコとかんずりベーコン」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は山形・鶴岡のイタリアン「アル・ケッチァーノ」の奥...