「彼女は何も悪くないのに」完璧な妻への劣等感に苦悩する夫

並木まき ライター・エディター
更新日:2020-11-28 06:08
投稿日:2020-11-28 06:00

妻に勝てる気がしない…

 自分よりも年収が数百万円多い妻は、朝から晩までスケジュール管理を完璧にこなし、休日も話題のスポットに出かけたがるなど流行への感度も高い女性。最初のうちは、そんなキラキラとした妻と一緒にいる自分を楽しんでいたTさんでしたが、次第に疲労を覚え始めたと口にします。

「妻が悪いわけではないのですが、一緒にいるだけで劣等感を抱くようになりました。なんで妻には簡単にできることが、僕にはできないんだろうって。

 仕事も、僕がどんなに必死になって仕事をしても、妻の年収になんて到底及びません。

 だんだんと、僕自身の人生がアホみたいに思えてきて、情けなくなっちゃって。

 僕自身が若い頃にヘラヘラと生きてきたツケなんだろうけど、こうも違いを間近で見ちゃうと、どうせ今から僕が何かをしても妻に勝てる気がしません」

 夫婦間で「勝ち負け」を意識する必要なんてないことは理解しつつ、自分よりも優れている妻に対しては劣等感しかないと語るTさん。次第に、「自分は年上の男性」というプライドすら崩れ、妻の顔を見るのすらつらくなってしまったのだそう。

妻は何ひとつ悪くない

「こんな状態では、夫婦生活が円満にいくわけがないのも理解しています。そして、妻は何ひとつ悪くないのもわかっています。

 だけど、どうしても気力が湧いてこないし、正直なことを言えば、今の環境から逃げ出したくて仕方ありません。

 おそらく僕が『離婚したい』と言えば、妻は理解を示してくれるんだと思います。だって、彼女はひとりでも十分に生きていける人だし、容姿もいいのですぐに恋人もできると思いますから。

 けれど、それすらも僕は踏み出せないんです。離婚してひとりになるのも怖いし、でも完璧な妻とこのまま一緒に居ても、自分がプレッシャーに潰されて、どんどんクズになっていくのもわかっているんです。

 妻が僕みたいにいい加減な性格だったら好きになっていなかったとも思いますし、どう考えても、僕のわがままですよね……」

「離婚となると、新居の手配とかいろいろ大変だから」と、今のコロナ禍が明けるまでは現状維持を望んでいるTさん。しかしコロナ禍が明ける日がくるのが怖いとも話していました。

  ◇  ◇  ◇

 恋人同士であれ、夫婦であれ、100%同じ価値観を有する男女は稀です。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。

並木まき
記事一覧
ライター・エディター
元市議会議員・時短美容家(一般社団法人 時短美容協会・代表理事)の肩書きを有する。20代から見聞きしてきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様への分析を活かし、美容や恋愛に関するコラムを中心に、さまざまな媒体に寄稿。
Instagram公式HP

日刊ゲンダイ掲載「あの人は今」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/277865

関連キーワード

ラブ 新着一覧


ヤリモク男より危険 「すぐ付き合って系男子」の見分け方
 男性とのさまざまな出会いの中で、女子にとって避けなければならないのが“カラダ目当て”のヤリモク男子ですよね!? ...
しめサバ子 2019-09-15 06:57 ラブ
オジサンからのLINEに潜む「絵文字」に隠された本心3選
 魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきです。読者のみなさま、こんにちは。  今回は、不倫願...
並木まき 2019-03-21 07:22 ラブ
不倫の落とし穴教えます…彼は本当に離婚してくれますか?
 真面目で、男性に免疫のない女性ほどハマってしまいやすい不倫。既婚者の彼はほどよく肉食で、マメで、サービス精神も旺盛で…...
深志美由紀 2019-04-05 02:20 ラブ
今までの投資って…合コンで出会った普通のアラフォー男子
 親よりもヨボヨボのおじいちゃんを紹介され、笑いのネタと化したお見合いパーティーですが、他の相談所も似たり寄ったり。中高...
高齢化社会を実感…60半ばのおじいちゃまからの“交際希望”
 知り合いがココで結婚したという、お見合いおばさんが主催するパーティーに参加しました。  案内された席には、息子...
これってホントにデート? 私が90分でギブアップしたワケ
 婚活で出会った男性とデートをすることになりました。ところが、待ち合わせから嫌な予感。  待ち合わせ場所は、渋谷...
好印象だった42歳男性 LINEのやりとりですっかり恋人気分
 婚活パーティーで連絡先を交換した中に、印象のいい男性がいました。「携帯の番号を登録したらLINEが出てきたので……」と...
負のスパイラルにはまる…男性にとって“サイズ”は死活問題
 前回、相談所を介して女性を食いまくる男性がいるという話をしましたが、「お付き合いを始めても、女性側からお断りすることが...
モテないから? カラダ目当てで相談所に来る男性にご用心
 相談所で、よそに所属していた女性からこんな質問があったそう。 「あの……、いつも会って2回目には男性のお部屋に...
態度も悪ければ言葉のセンスも…女性に“逢いたい”は絶対NG
 目も合わせずたばこをふかし、婚活パーティーなのにお酒で赤ら顔……JR保線部署に勤める45歳の男性。2次会に行くと外国人...
プチモテ期がきたと思ったのに…2次会で見えた男のウツワ
 前回のパーティーでの取材を生かして、オーバー40歳のパーティーに参加。グループトークのおかげであまり話さずにニコニコし...
やっぱり直接会わなきゃ!40代向けパーティーに潜入したら
 パソコンで婚活相手を探すのと違い、ジカ当たりできるパーティーは好感触だったので、今度は40代メーンのパーティーに参加し...
個性派気取り? パーティー会場にいた残念すぎる服の男性
 会員限定の大きなパーティーに行くと、ちょっと地味だけどマジメそうな男性がいっぱい。なぜか身長の低い人が目立ちます。 ...
会員制パーティー初参加も…アピールタイムはたったの3分
 せっかく結婚相談所に入会したのにまともな男性に会えないのでは意味がないと、今度は会員限定のパーティーにチャレンジです。...
街コンで一目惚れした福山似イケメンにドン引きした理由
 婚活中と公言すると、さまざまな経験談が耳に入るようになります。街コンに行った友人(美容業・34歳)からこんな話を聞きま...
趣味は「絵画鑑賞」 ハイソで知的なメンズだと思ったのに
 第1弾の紹介書にあった男性陣の容貌にゲンナリして、その後コンタクトを断念。新たなアクションは、会員サイトからの相手探し...