糀の力ってすごい!
「食感の違い」を楽しんでもらうため、牛タンの裏、リンパに近い部位を使います。塩糀に漬けることで、多少歯ごたえが残りがちなサイコロ状にカットしても、ほどよい軟らかさに仕上がるのだとか。
「糀を使った行きつけのレストランがあって、ハンバーグや豚肉の生姜焼き、ローストビーフなど、とにかく糀が素材の味を引き立てていた。食材は軟らかくなり、うま味は増し、糀の力はすごいと思って、硬めのタンに応用してみました」
店では、焼き肉用の「ミノ」をオーダーすると、肉に添えられて出てきます。焼く前にちょっと糀を絡めるだけで軟らかさが全く変わるとのこと。
「タンの硬い先っぽだけでなく、どの部位、どんな切れ端も捨てずに使えるよう、食べ方を考えます。無駄なく食べてあげることが、一番の牛への供養だと思っているからです。結果的に食品ロス削減につながればいいかなと思っています」
余分に「塩糀のタレ」を作って冷蔵庫でストックしておけば、魚に塗ってグリルにするとか、温野菜のドレッシング代わりにするとか、いろいろな料理に応用できますよ。
【材料】
・牛タン 適量
【もみだれ】
・すりおろしのたまねぎ 小さじ2
・おろしにんにく 小さじ2
・おろし生姜 小さじ2
・ごま油 大さじ1
・塩糀 大さじ3.5
・塩 ひとつまみ
【レシピ】
(1)もみだれを作り、サイコロ状にカットした牛タンと混ぜ合わせる。
(2)肉をフライパンで焼き、味付けが薄いようなら、塩をつけて食べる。
本日のダンツマ達人…岩瀬善紀さん
▽岩瀬善紀(いわせ・よしのり)
1980年、神戸市灘区出身。高卒後、バーでアルバイトをしながら、28歳で自分のバーを持ち、33歳でソムリエの資格を取得。いつか食べ物屋をやろうと思い、38歳で一念発起。焼き肉屋を始めるため、一流のものを扱う場で学びたいと考え、神戸の老舗精肉店に飛び込む。日々、研さんを重ね、肉の特徴や余った部位の活用法などを教わった。
▽くだん
名前の由来は、体は牛で頭は人の「妖怪」。入り口に絵を飾っておくと厄よけ、招福のお守りになるといわれている。地元兵庫県産、鹿児島県産の黒毛和牛、野菜など、肉と旬野菜、ワインにこだわる。老舗精肉店で培った知識と経験、独自の目利きで仕入れた食材をそれぞれの味が引き立つよう、アレンジ。カウンター席4、テーブル、半個室がそれぞれ4席で、つい長居してしまう居心地のいい雰囲気だ。飲食店激戦区の阪急六甲で唯一の焼き肉店として人気を博している。
兵庫県神戸市灘区宮山町2-8-15
(日刊ゲンダイ2020年3月14日付記事を再編集)
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