じっくり煮込んだ豚肉の力強いうま味をご賞味あれ
ポトフはフランスの家庭料理で、牛の塊肉と玉ネギ、にんじん、セロリなどの野菜をコトコト煮込んで作るのが定番ですが、今回はもちろん豚肉で。
「普段は店のメニューにはないですが、シェフ自身が食べたくなって、たまに出すことがありますね」
「醍醐味はじっくり軟らかく煮込んだ豚肉の力強いうま味。豚を塩漬けにすることが最大のポイントです。余分な水分が抜けて味と香りがぐっと増し、おいしいだしも取れるので、それで野菜を煮込めばほとんど調味料がいりません」
確かに、豚肉のおいしさもさることながら、肉のうま味とほどよく塩けをまとった野菜の奥ゆかしい味わいは、じんわりと胃に染み渡ります。
スープものにはお酒を合わせづらい印象があるが、ポトフはいわば洋風おでん。
「おでんで日本酒を飲む感覚で、あまり樽の効いていない冷涼な地域、例えばアルザスのリースリングなどがおススメです。マスタードをたっぷりつけて食べれば、白ワインとスムーズにつながります」
【材料】(4人分)
・塩漬け豚バラ肉(※) 800グラム
・玉ネギ 1個
・にんじん 2本
・大根 4分の1本
・かぶ 4個
・じゃがいも(メークイン) 2個
・白菜 8分の1個
・ブロッコリー、きのこ(好みのもの。今回はしめじとひらたけ) 各適量
・ベーコン(塊) 60グラム
・にんにく 4片
・ローリエ 2枚
・タイム 4本
・塩、こしょう、マスタード 各適量
【塩豚の作り方】
豚バラ塊肉1キロに対して塩12グラム、黒こしょう2グラムをまぶしてよく揉み込み、ラップに包んでひと晩おく。
【レシピ】
(1)玉ネギは半分に切り、にんじんは皮をむいて横半分に切る。大根は皮をむき、2センチ厚の輪切りにする。かぶは皮をむき、じゃがいもは皮をむいて半分に切る。ブロッコリーは小房に分ける。
(2)鍋に塩豚を入れ、かぶるくらいの水を加えて火にかける。沸騰したらアクをとり、玉ネギ、にんじん、大根、ベーコン、にんにく、ローリエ、タイムを加えてふたをし、弱火で煮る。
(3)野菜にある程度火が通ったら、かぶとじゃがいもを加えてさらに煮る。
(4)最後にブロッコリー、白菜、きのこを加え、味をみて塩、こしょうをし、ふたをしてさっと煮込む。
(5)皿に盛り、マスタードを添える。
本日のダンツマ達人…郷卓也さん
▽郷卓也(ごう・たくや)
1982年、東京都出身。高校卒業後、洋食店での勤務をきっかけにフランス料理を志し、20歳のときにフランスで2週間食べ歩く。帰国後、東京・丸の内「ブラッスリーオザミ」のオープニングスタッフとして入社。3年間の修業後、渡仏して2年間修業。帰国後、六本木「ブーケ・ド・フランス」で研さんを積み、恵比寿「ル ビストロ」のシェフを経て、2015年に人形町に「ラ ブーシュリー グートン」をオープン。
▽ラ ブーシュリー グートン
店名の「ブーシュリー」は「肉屋」、「グートン」は「食べる」を意味するフランス語。古代種豚の中ヨークシャーのほか、交配種のLYB豚、希少な満州豚や国産のマンガリッツァ豚など、常時3~4種類の豚肉料理が楽しめるビストロ。ワインはすべてフランス産で、ワインのセレクトとサービスを担当するマネジャーの藤田一さんの軽妙なトークも楽しい。
東京都中央区日本橋富沢町10-15 勢州屋本店ビル1階
(日刊ゲンダイ2020年2月15日付記事を再編集)
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