腹痛だけと思ったら大間違い!本当は怖~い「便秘」の5つの影響【薬剤師監修】

コクハク編集部
更新日:2025-02-13 06:00
投稿日:2025-02-13 06:00

3. 腹痛以外に注意したい便秘のリスクは?

 便秘のリスクは腹痛だけではありません。その他の主なリスクを4つ、紹介します。

3-1. 肌荒れ

 便秘が続くと腸内で便が腐敗して悪玉菌が増加し、アンモニアなどの有害物質が発生します。

 有害物質は血液によって全身に運ばれます。有害物質が皮膚に到達すると、汗や皮脂と一緒に体外に排出されますが、一部が皮脂や角質と結びつくとニキビや吹き出物、肌荒れを引き起こす原因にも。

3-2. イライラ・疲労感

 腸の中で発生したガスは、おなかの張りを引き起こします。こうしたおなかの不快感が脳に伝わると、憂鬱な気分になることも。

 インドールやスカトール、アンモニアなどの有害物質が全身に回ることで、頭痛やだるさ、肩こりや疲れやすさといった症状が出ることもあります。

3-3. 体臭・口臭

 全身にまわった有害物質が口から排出されると、平常時よりも強い口臭となる場合があります。同様に、皮膚から排出される場合は体臭となることがあるでしょう。

 このように、口臭が強くなったり汗から便の臭いがしたりすることも、便秘によるリスクのひとつです。

3-4. 病気のリスク

 便秘によって硬くなった便を無理に排出しようとすると、肛門が切れる切れ痔や、肛門に負担がかかることによるいぼ痔になる恐れがあります。

 痔になると排便時に強い痛みを感じるため排便に対して消極的になり、ますます便秘が悪化する人もいるようです。

 腸は「腸管免疫」と呼ばれ、体外からの細菌やウイルスの侵入を防ぐ働きをしています。しかし、便秘によって腸内環境が悪化すると腸管免疫が機能しなくなり、免疫力が低下して感染症にかかりやすくなることもあります。

 腸が有害物質に長時間さらされることで大腸がんのリスクがあがるケースもあるので、便秘の人は早めに対策してくださいね。

4. 便秘解消にはこれがおすすめ!

 肌荒れや疲労感だけではなく、大腸がんのリスクもある便秘。便秘を解消するためには、以下の3つの方法がおすすめです。

4-1. 食生活の改善

 食物繊維が不足していると便秘がちになります。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があるので、バランスよく摂取してください。

 水溶性食物繊維は野菜や果物、オートミールに多く含まれています。水に溶けるとゼリー状になり、腸内での便の移動をスムーズにします。1日あたり男性は7g、女性は6gを目安に摂取しましょう。

 不溶性食物繊維は根菜や大豆、きのこ類に多く含まれる栄養素です。便のかさを増やして腸を刺激することで、スムーズな排便を促します。1日あたり男性は14g、女性は12gを目安に摂取してください。

 ただし、水溶性食物繊維を過剰に摂取すると下痢になり、不溶性食物繊維を過剰に摂取すると便秘を悪化させる恐れがあります。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の割合が1:2になるように意識してくださいね。

4-2. 適度な運動・マッサージ

 腸の動きが悪くならないように、適度な運動やマッサージをすることも便秘解消には効果的。座ったまま足裏を床につけ、息を吐きながら上半身を左右にひねってください。デスクワークの合間に腸に刺激を与えられますよ。

 排便を促すためには、おへそを中心に「の」の字を書くように時計回りにマッサージしてください。大腸を動かして、便を肛門へと移動させるイメージでゆっくりと行うのがおすすめです。

4-3. 漢方薬の服用

 便秘しがちな人は、体質の改善に働きかける漢方薬の服用によって、便秘しにくいからだを目指すこともおすすめです。

 便秘対策には「整腸作用」「便の水分バランスを整える」「腸の動きを正常にする」といった自然な排便を促す漢方薬を服用しましょう。

<便秘対策におすすめの漢方薬>

・潤腸湯(じゅんちょうとう):腸を潤し、硬くなった便を柔らかくして便通を改善します。

・大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう):腸の動きを正常に整え、便秘によるお腹の張りを改善します。

 スマホで気軽に専門家に相談できるオンライン個別相談も話題です。

 スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談が可能。お手頃価格で不調を改善したい方は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。

5. 便秘を甘く見ず、しっかり対策を!

「今まで便秘って、軽いものだと思っていました。でも、私の認識以上に深刻な状態だったんですね」

「そうね。便秘に悩む人は多いけど、決して甘く見ていいものではないわ」

「今度便秘かな? って思ったら、早めに運動やマッサージ、食生活の見直しを試してみます!」

 力強く宣言するアキさんに、えりのボスは優しく頷きます。

「今日紹介した以外にも、便秘解消に効果的なマッサージや運動はあるわ。いろいろ試して、自分に合うものを見つけてね」

「ありがとうございます!」

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

 優しい表情でサロンを去っていくアキさんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


眉間のシワが気になる…簡単&効果的な4つのケア&予防方法
 ふと鏡に映った自分の顔に、深く刻まれたシワ……。嫌ですよね。中でも特に厄介なのが、「眉間のシワ」。場合によっては、不機...
“見た目年齢”がわからない人の特徴4つ!若見えする秘訣とは?
 近年、年齢に対して若く見える人が増えてきましたよね。娘と姉妹に見えるようなお母さんや、何年経っても見た目が全く変わらな...
残暑のメイク崩れと闘う!ファンデ密着お役立ち溺愛品3選
 夏の女の大きな悩みのひとつといえば、汗によるファンデ崩れ。とくに昨年に続き、今年はマスクの蒸れもあって、余計に崩れがち...
意外と知らないBBクリームの魅力♡ 正しい使い方5STEP
 女性にとってメイクは楽しいものですが、時には「面倒だな」と思うこともありますよね。特に、忙しい朝のメイクに苦労している...
理想の顔に♪ 面長&丸顔を上手にカバーする小顔メイクのコツ
 せっかくメイクをするなら、自分の思う“理想の顔”に近づけたいもの。しかし、顔の形は人それぞれで、似合うメイク方法もさま...
メガネが似合わないのはなぜ?3つの理由&選び方のポイント
 今では、おしゃれアイテムのひとつになっている「メガネ」。コーディネートにメガネを取り入れたいのに、「私には似合わない」...
ダイエット後に体重が定着するまでの期間は? 維持する方法
 ダイエットをしている女性の大きな悩みが「リバウンド」でしょう。やっとの思いで痩せたのにリバウンドしてしまうたび、「痩せ...
リモートワーク中に嬉しい太らないおやつ5選♡ 間食の取り方
 コロナ禍によって、リモートワークで働く人が増えていますよね。でも、自宅時間が増えることで、ついつい間食を繰り返してしま...
シャンプーの香りが長続きしない原因&持続させるポイント6つ
 女性にとって、髪の毛の香りは気になるもの。特に、汗をかきやすい季節は頭皮の匂いが気になりやすいため、「シャンプーの香り...
お得なサブスクコスメでキレイが届く♡ おすすめサービス3選
 最近、人に会う機会がほぼなくなり、美容に対する熱量が少なくなっていました。お出かけをする機会も滅多にないため、メイクも...
急なテカリに…あぶらとり紙の代用品として使えるアイテム4つ
 顔がテカった時に便利な「あぶらとり紙」ですが、うっかり忘れたり、切らしてしまうこともありますよね。でも実は、普段手元に...
メイクブラシのお手入れしてる? メリット&正しい洗い方♪
 メイクブラシは、毎日のメイクに欠かせないアイテムのひとつ。みなさんはしっかりお手入れしていますか? 汚れたメイクブラシ...
ヘアブラシの正しい選び方&ブラッシングするメリット4つ♡
 理想の美髪を目指して、シャンプーやトリートメントで念入りにヘアケアをしている人は多いでしょう。実は、美髪を目指すために...
スタイルが良く見える細見え服の選び方♡ コーデの4つのコツ
 女性だったら誰もが、細見えする服で少しでもスタイルを良く見せたいと思っているでしょう。今回は、スマートに見える細見え服...
ヘアオイルは朝と夜で使い方が違う!?理想のツヤ髪の作り方
 私たちの髪の毛は紫外線やドライヤーなど、さまざまなダメージにさらされています。ダメージから「髪を守りたい」と、ヘアオイ...
ブラトップはバストが垂れる? 原因&垂れないための予防法
「ブラトップ」は、ブラジャーとキャミソールがひとつになった便利なアイテム。着け心地が良く楽ちんなブラトップですが、「バス...