いきなり唇にキスを…セクハラ女の怪進撃がヒートアップ

うかみ綾乃 小説家
更新日:2019-11-14 17:01
投稿日:2019-10-17 15:20
 Gが自身のパワハラを認め、謝罪したことで、私はてっきり彼女の行為が今後は収まるものと思っていました。ですが彼女の中では「私に許された」事実が「受け入れられた」物語になったようでした。
 前回の話はこちら→「#4 女にロックオンされた私…謝罪と懇願への油断が招く悲劇

仕事後は私の部屋まで付きまとい

 Gの怪進撃はますますヒートアップ。仕事の酒席の後は必ず、私をマンションまで送ろうとします。

私「いえ、途中でコンビニに寄りますので」

G「でしたら、お買い物も一緒にしましょう」

 買い物をして、マンションの前に着きます。

私「それでは、お疲れ様でした」

G「水臭いなぁ。部屋の前までお送りします」

 部屋の前に着きます。

私「それでは……」

G「さっきコンビニでお茶っ葉を買ったんです。美味しい煎茶の煎れ方を教えて差し上げます」

私「せっかくですが、夜にお茶を飲むと眠れなくなるので」

 なんとか振り切って部屋に帰ります。すると10分後、インターホンが鳴ります。

G「綾さーん、タクシーがつかまりませんでしたー」

私「では……こちらで呼びますので」

 インターホンごしにそう伝え、タクシーを呼び、今度はドアチェーンをかけたまま玄関ドアを開けます。

私「6、7分で着くそうです。お気をつけて」

 そのときの彼女の、恨みがましい目。もともと目の小さい人なのですが、気に入らないことがあると、両側の瞼が垂れ、二等辺三角形を描くのです。そうなると黒目が左右に離れたようになり、その目でじっと私を見、苦笑を浮かべて、ゆっくりと背中を向けるのでした。

うかみ綾乃
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小説家
2011年「窓ごしの欲情」(宝島社文庫)で日本官能文庫大賞新人賞受賞。’12年「蝮の舌」(悦文庫)で第二回団鬼六賞大賞受賞。コラムニスト、映画の原作&脚本家としても活躍中。近著に「蜜味の指」(幻冬舎アウトロー文庫)。2020年から原作映画『モンブランの女』(『モンブランを買う男』AubeBooks)が全国で公開中。
ブログ http://ukamiayano.blog.fc2.com/

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