「つぶしなます」盛りつけ前に指でギューッとつぶすのがコツ

コクハク編集部
更新日:2020-04-02 06:00
投稿日:2020-04-02 06:00
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・品川の「あじろ定置網」の西潟正人さんに、ウマ味と調味料が染みた「つぶしなます」のレシピを教えていただきました。

皮の食感がおいしい

 一見すると、ありふれたお刺し身のようですが、よく見ると、ちょっとした違いに気づきます。

「刺し身ですが、皮は引かないの。皮の食感がおいしいんだよ」

 刺し身で皮を引かないとは珍しい! 皮目をあぶっているわけでもなく、熱湯にさらしているわけでもない。肝心の作り方はというと、塩で30分締めたら、酢で塩を洗い流す。ただそれだけです。

「今回使った魚は、ヒイラギですが、ワラサやアジでもいい。ヒイラギでの正式の作り方は、塩締めの後、酢でも30分締める。でも、簡単に仕上げて、すぐ食べるなら酢洗いで十分ですよ」

 醤油もワサビもつけずに一切れを口に運んでみます。塩で締めたおかげで、身がほどよくこなれています。塩分がちょうどよく、なるほど薬味はいらないかも。それ以上に驚いたのが、ウマ味です。特に皮の周りから広がってくるのがスゴイ。

「盛りつけるときに、身全体を指でギューッとつぶすの。それがおいしく食べるコツで、つぶしなますね。細胞膜が破れるでしょう。魚のウマ味や塩、酢が混然一体となっておいしいんだよ。ほら、ほどよい皮の食感がいいだろ」

 これは簡単! 風呂に入る前に塩を振っておけば、あとは酢洗いだけで極上のおツマミの出来上がり。

【レシピ】

1. 好みの魚の半身を用意したら、まんべんなく塩を振って30分おく。
2. 酢で洗う。
3. 刺し身に切り分ける。
4. 皿にツマや大葉などを添え、盛りつける。盛りつけ前に、とにかく指でギューッとつぶすこと。

本日のダンツマ達人…西潟正人さん

▽にしがた・まさと
 1953年、新潟生まれ。魚好きが高じて、神奈川県逗子市に地魚料理店「魚屋」を開き、20年営む。その後、2015年、東京・品川にオープンした「あじろ定置網」の料理顧問に。東京海洋大学非常勤講師(魚食文化論)。

▽あじろ定置網
 静岡・網代の定置網で取れた新鮮な魚介が毎日、直送される。スーパーには並ぶことのない珍しい魚に出合えるとあって、魚好きで連日、満席。西潟氏が板場に立つのは金曜のみ。東京都港区港南4―5―1。土・日曜定休。

(日刊ゲンダイ2019年12月10日付記事を再編集)

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

フード 新着一覧


「握り寿司に見立てたリゾット」見た目と味のギャップに驚く
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・外苑前のイタリアン「La coccola」...
おいしい季節到来!何度も作りたい☆ほっこり白菜の卵とじ
 白菜がスーパーの軒先や棚にたくさん並び始めましたね。特に鍋で活躍する白菜ですが、今回はぐっち家で何度も作るおいしい白菜...
ぐっち夫婦 2020-12-21 01:20 フード
「イチジクとイワシの白和え」スパークリングワインのお供に
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・学芸大学のイタリアン「あつあつ リ・カーリ...
週末に作り置きしたい「肉シューマイ」は赤ワインと相性抜群
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・代官山の煮込みダイニング「Choi.S」の...
パン粉いらずで簡単「牡蠣のピカタ ブラックペッパー風味」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は大阪・豊中市のフレンチ「ビストロ・リッペ」の中尾...
「ハスとザーサイ炒め」レンコンはおつまみ界の優等生食材
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は札幌・すすきのの居酒屋「おばんざい屋 まる」の平...
「肉みそピーマン」しょうがの効いた肉みそはアレンジ万能
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・代官山の煮込みダイニング「Choi.S」の...
「きのこのオーブンオムレツ」いつものキノコが特別な味に
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・学芸大学のイタリアン「あつあつ リ・カーリ...
「シャキシャキのネギまみれ」おいしい、簡単、手間いらず!
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・吉祥寺の焼き鳥店「焼き鳥 しょうちゃん」の...
まるでレストラン!彩り野菜を添えた「牛肉とナスの巻き物」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は大阪・豊中市のフレンチ「ビストロ・リッペ」の中尾...
手開きで包丁いらず!はちみつ梅を使った「いわしの梅巻き」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は札幌・すすきのの居酒屋「おばんざい屋 まる」の平...
特別な日に…ちょっぴり贅沢な白ワイン煮「鰻のマトロート」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・浅草橋のビストロ「ジョンティ」の斎藤光さん...
コンビニ食材でイタリアン「アニョロッティ・ダル・プリン」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・学芸大学のイタリアン「あつあつ リ・カーリ...
軽い苦みがくせになる! 焼酎のおともに「春菊のナムル」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・吉祥寺の焼き鳥店「焼き鳥 しょうちゃん」の...
どこか懐かしい味…「ピリピリこんにゃく」は焼酎と一緒に
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は札幌・すすきのの居酒屋「おばんざい屋 まる」の平...
肉汁を逃がさない! ソースが決め手の「豚肉のロースト」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は青森県・青森市のイタリアン「リンチェ」の滝沢英哲...