2度美味しい 「鳥と大根スープ煮」からの「冷麺風そうめん」

コクハク編集部
更新日:2020-08-05 06:00
投稿日:2020-08-05 06:00
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・門前仲町のミシュランにも掲載された割烹「ふく田 」の福田利明さんに、一皿で2つの食べ方ができる「鳥と大根のスープ煮」「冷麺風そうめん」のレシピを教えていただきました。

コラーゲンの塊を残しておいて…

 食材のチョイスや作り方もさることながら、食べ方にひと工夫あるのが福田流。この一皿も食いしん坊ならではのおツマミです。

「鳥は、手羽先と手羽先正肉を使います。これを乱切りした大根と一緒に、コンソメを加えて30分煮るだけ。手羽の煮込みはコラーゲンが固まるので、冷蔵庫で冷やして召し上がってください。でも、コラーゲンの塊は全部食べ切らずに、少し残しておいてくださいね」

 何かを隠したような顔で笑いました。

 なるほど、手羽先は骨離れがよく、ドゥルッとしたコラーゲンの塊が肉としっかり絡んで、口いっぱいにウマ味が広がります。店で出すなら鳥ガラで3時間ダシを取りますが、家庭ならコンソメなど市販のダシで十分。それでも立派な冷やし鳥になります。好みでゆずこしょうを合わせると、より一層、芋焼酎が進みます。残しておくのはもったいない……。

「残ったコラーゲンに水を少し加えて火を入れ、スープに戻します。そのスープをそうめんにかけて、冷麺風に食べるとおいしいんです。一皿で2つの食べ方はズルいかな?」

 のんべぇの食欲を刺激する心憎い演出。ウマければ、いい~んです!

 おすすめに従って、冷麺のように酢をかけてカラシをのせて一口。これまで食べたそうめんの中で最もおいしい! 酢の酸味とカラシが、シメのような料理を見事なおツマミに仕上げてくれます。どちらも芋焼酎にぴったり。

【材料】(4人分)

・手羽先       8本
・手羽先正肉     4本
・大根の乱切り    8つ
・水       600㏄
・コンソメ      1つ
・そうめん      4束

【作り方】

 鍋に食材を入れたら、たっぷりの水を張る。「たっぷり」とは、水が食材をひたひたに覆うよりもう少し多めの量だ。それより少ないと、30分煮込む間に水が蒸発。スープが足りなくなる。“ひたひたより多め”は、蒸発する水分を考慮してのことだ。

 味付けは、コンソメで。30分煮込んだら粗熱を取ってから、器によそって冷蔵庫へ。コラーゲンは大さじ2杯ほど残しておき、スープの分だけ水を加えて温める。

本日のダンツマ達人…福田利明さん

▽ふくだ・としあき
 埼玉県朝霞市出身。東京・銀座を中心に修業を重ねて、15年前に独立。丁寧な仕事で素材を引き立て、色鮮やかに、なおかつ惜しみなく盛り付けるのは、大柄な体格の“ヘビー級料理人”ならでは。

▽ふく田
 築地で仕入れた新鮮な魚介を中心に、ひと手間加えた料理で客をもてなす。初めて訪れた人はまるで“一品料理”のような突き出しに驚く。「ゆっくり食べてほしい」との思いから、店は1回転のみ。ダッチオーブン仕上げの「やまゆりポーク」ほか名物料理多数。ミシュラン掲載。日・月曜休。PM6~9(LO)。 東京都江東区牡丹3―27―6。

(日刊ゲンダイ2017年9月6日付記事を再編集)

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

フード 新着一覧


真っ白な「ポテトサラダ」じゃがいも=こってりの概念を覆す
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は北海道・札幌の和食店「酒と肴 類」の菊岡正輝さん...
おうちで簡単に作れる!かぼちゃとベーコンの絶品キッシュ
 急に冷え込む日が続くようになって、一気に季節が冬に移り変わろうとしていますね。冬は、クリスマスやお正月などイベントごと...
ぐっち夫婦 2020-12-21 01:21 フード
「南蛮エビなめろう」これぞ酒泥棒!目が覚めるコクとうま味
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は新潟・新発田の寿司の名店「登喜和鮨」の中小林宏輔...
削ってレンチン!赤ワインには「パリパリ・パルミジャーノ」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・六本木の「オステリア ナカムラ」の中村直行...
「葉蒜豆鼓炒海瓜子(葉ニンニクとアサリの豆鼓炒め)」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・千歳烏山の台湾料理店「天天厨房」の謝天傑さ...
万能ソースが活躍「マッシュルームとフォアグラのリゾット」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は大阪・北新地のフレンチ「カラーズ」の加藤吾郎さん...
「ムール貝とカブのワイン蒸し」塩辛と生米で2度おいしい!
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・銀座のフレンチ「銀座エスコフィエ」の東正俊...
裏技テクでじっくり2時間 磯の風味を凝縮した「蒸しアワビ」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は新潟・新発田の寿司の名店「登喜和鮨」の中小林宏輔...
「ブロッコリーのアーリオ・オーリオ」は冷めてもおいしい
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・六本木の「オステリア ナカムラ」の中村直行...
イタリアンな「魚介のサラダ」時短&失敗ナシなのに主役級!
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・外苑前のイタリアン「La coccola」...
「ニンジンのサラダ クミン風味」カレー風味の“なます”です
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・押上のスパイス料理専門店「スパイス・カフェ...
和食の基本と潔さ 手間をかけただけおいしくなる「煮ガキ」
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は新潟・新発田の寿司の名店「登喜和鮨」の中小林宏輔...
「サバのフリッタータ」本場のオムレツをサバ味噌煮缶で作る
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・六本木の「オステリア ナカムラ」の中村直行...
「鶏モモ肉のロースト大葉とゆずの香り」皮のパリパリ食感!
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は大阪・豊中市のフレンチ「ビストロ・リッペ」の中尾...
「握り寿司に見立てたリゾット」見た目と味のギャップに驚く
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・外苑前のイタリアン「La coccola」...
おいしい季節到来!何度も作りたい☆ほっこり白菜の卵とじ
 白菜がスーパーの軒先や棚にたくさん並び始めましたね。特に鍋で活躍する白菜ですが、今回はぐっち家で何度も作るおいしい白菜...
ぐっち夫婦 2020-12-21 01:20 フード