必要以上に身体を触られ…アラフィフ女に覚えた違和感

うかみ綾乃 小説家
更新日:2019-11-14 17:00
投稿日:2019-08-29 10:00

エスカレートする猥褻トークと過干渉

■アルコールが入ると、「私はヘテロじゃないから」と言いだし、女同士のセックスの話を大声でしはじめる。

G「私、中ではイケなくてクリ派なんです。でも指やお道具で中をグリグリされると、振動がクリに伝わって、わけのわからないうちにイカされちゃうんです。女性同士だと、感じさせ方がお互いにわかって、良いですよ」

 このような話を聞いても、当時の私は、この話が聞こえている周囲のお客さんに申し訳なく恥ずかしいだけで、まだ、彼女の性的指向と、私への過干渉を関連づけて考えることは避けていました。

 でなければ、彼女との仕事が辛くなるからです。

 むしろ自尊心のためにも、仕事相手を良く捉えようとし、彼女に苦手意識を覚えてしまう自分に、罪悪感を抱いていました。

 ですがほかにも、男女なら完全にアウトな行為が続きます。

■飲んだ後は必ず、私をマンションまで送り、そのまま部屋に上がろうとする。

 断れば彼女は、「やだぁ、あやさんともっと一緒にいたぁい」と、子供のようにむくれてダダをこねます。

 その態度は、4、5歳の幼女が取りさえすれば、さぞや可愛いのだろうものでした。

(この人の、現実の己と自己評価との間には、大きな隔たりがある。その隔たりを、どのような思い込みで埋めているんだろう。そこに私を、どのように絡めて考えているんだろう……)

 やがて、最初の決定的な出来事が起こりました。

 彼女が会社に申し出て、私とふたりでの出張旅行を決めたのです。

 次回に続きます。

うかみ綾乃
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小説家
2011年「窓ごしの欲情」(宝島社文庫)で日本官能文庫大賞新人賞受賞。’12年「蝮の舌」(悦文庫)で第二回団鬼六賞大賞受賞。コラムニスト、映画の原作&脚本家としても活躍中。近著に「蜜味の指」(幻冬舎アウトロー文庫)。2020年から原作映画『モンブランの女』(『モンブランを買う男』AubeBooks)が全国で公開中。
ブログ http://ukamiayano.blog.fc2.com/

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