「生ハムとウフブルイエ」普通の卵でもリッチな風味の秘密は

コクハク編集部
更新日:2022-04-01 06:00
投稿日:2022-04-01 06:00
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・人形町のビストロ「ラ ブーシュリー グートン」の郷卓也さんに、濃厚でまったりとした口当たりの「生ハムとウフブルイエ」のレシピを教えていただきました。

慌てず気長に火を入れる

 フランス流スクランブルエッグだが、侮ることなかれ。濃厚でまったりとした口当たりは、一体どれだけ高級な卵を使っているのかと、驚くほどリッチな味わい。

「普通のスーパーの卵でも、バターと生クリームを少し加えて、ゆっくりじっくり火を入れていくと、卵の甘味が出てきます。フランス料理では、卵の殻を器に仕立てたものに、このスクランブルエッグを詰めて、生ウニやキャビアをのせたアミューズ(前菜)があるんです」

 ポイントは、ある程度深さのある鍋で、気長に慌てず火を入れること。「卵が少しずつ固まってくるので、必ず鍋底から返しながら丁寧に混ぜてください」。弱火で大体3~5分だというから、ワインをちびちび飲みながらでも。

 トッピングには、きのこのソテーや牡蠣のコンフィも合うそうですよ。合わせたお酒は、スペイン寄りの南西フランスの赤。

「卵料理にどんなワインを合わせるかは意外に悩みどころです。何を合わせても卵の生臭さが気になるので。でも、生ハムを主役と考えれば赤を合わせればいい。バターとつながる乳酸菌の香りがするものを」

【材料】(2人分)

・卵 3個
・生クリーム 30グラム
・バター 15グラム
・塩 2つまみ
・ミニトマト、ブロッコリー、フレッシュマッシュルーム 各適量
・生ハムスライス 2~3枚
・黒こしょう、パルメザンチーズ 各適量

【レシピ】

(1)ボウルに卵を割り入れて溶きほぐし、生クリームと塩を加えてよく混ぜ合わせる。

(2)ミニトマトはヘタをとって半分に切り、小房に分けて茹でたブロッコリー、フレッシュマッシュルームは食べやすい大きさに切ってオリーブオイル、塩(分量外)をする。食べる直前に電子レンジで温める。

(3)小鍋にバターを溶かし、1を流し入れて極弱火にかけ(あるいは1のボウルを湯煎にかけ)、へらなどで混ぜながらゆっくり火を入れる。卵が少しずつ固まってきたら、鍋底から返すようにしながら混ぜる。

(4)卵がまったりとしてきたら器に盛り、2の野菜を散らして生ハムをのせ、黒こしょう、パルメザンチーズをふる。

本日のダンツマ達人…郷卓也さん

▽郷卓也(ごう・たくや)
 1982年、東京都出身。高校卒業後、洋食店での勤務をきっかけにフランス料理を志し、20歳のときにフランスで2週間食べ歩く。帰国後、東京・丸の内「ブラッスリーオザミ」のオープニングスタッフとして入社。3年間の修業後、渡仏して2年間修業。帰国後、六本木「ブーケ・ド・フランス」で研さんを積み、恵比寿「ル ビストロ」のシェフを経て、2015年に人形町に「ラ ブーシュリー グートン」をオープン。

▽ラ ブーシュリー グートン
 店名の「ブーシュリー」は「肉屋」、「グートン」は「食べる」を意味するフランス語。古代種豚の中ヨークシャーのほか、交配種のLYB豚、希少な満州豚や国産のマンガリッツァ豚など、常時3~4種類の豚肉料理が楽しめるビストロ。ワインはすべてフランス産で、ワインのセレクトとサービスを担当するマネジャーの藤田一さんの軽妙なトークも楽しい。

東京都中央区日本橋富沢町10-15 勢州屋本店ビル1階

(日刊ゲンダイ2020年2月13日付記事を再編集)

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