100通りの味
「挽き肉豆腐」という名前から麻婆豆腐のような見た目かと思ったら。あら、意外。豆腐のてっぺんをくりぬき、そこに炒めた挽き肉を入れるというスタイルです。ややしょっぱめの挽き肉が淡泊な豆腐とマッチし、なるほど、酒との相性は抜群。しかし、この料理のキモはそこではないそう。
「これは人によって、食べ方が何通りもあるんですよ」
とは唐料理長。どういうことなんでしょう。
「ラー油をちょっと垂らしてみてください」
それまでは焼酎を合わせていたが、ラー油の風味になった途端、ビールが飲みたくなった。いや、他の酒でもいいかも!。
「ワサビも合いますよ」
その言葉を聞くや、焼酎……日本酒も合うのかな? と、しばし考察。七味唐辛子もイケるんじゃない?
「それもいいですね。つまり、調味料次第で好みの味付けができる。挽き肉ではなく、エビのすり身でもおいしい。幅広いでしょ?」
笑顔の唐料理長に、さまざまな味付けが思い浮かぶ。マヨネーズは絶対に合うだろうし、挽き肉をカレー風味にしてみるのも面白いかも。いやいや、味噌をのっけて、あえて塩味をきつくしたところで日本酒を……。想像するともう止まりません。豆腐と挽き肉をいかに好みの味に仕上げるかは、あなた次第。彼の好みに合わせて作ってあげるのも いいですね。
【材料】
・絹豆腐 1丁
・挽き肉 60グラム
・カツオの顆粒ダシ(8グラムのスティック) 1袋
・醤油 適量
【レシピ】
1. 顆粒ダシと醤油を合わせた調味料で挽き肉を炒める。
2. 食べやすい大きさに切った豆腐のてっぺんを少しくりぬき、調理した挽き肉を入れて完成。ダシと醤油のタレをかけるもよし、他の調味料で味付けをしてもよし。
本日のダンツマ達人…唐子庭さん
▽とう・してい
1947年、広東省珠海市出身。プリンスホテル系列で中華料理長を歴任し、91年にヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルの「中国料理 カリュウ」初代料理長に就任。世界屈指のチャイナタウン、横浜中華街を擁する横浜ならではのバリエーション豊富な料理が得意。
▼壱龍釜
日本における広東焼き物料理の第一人者、横尾博志氏がプロデュースし昨年12月に開店。横尾氏のレシピを基に作られた広東料理を中心にさまざまな本格中華が楽しめる。店名の由来となった世界に1つだけの特注釜は、焼き物の出来上がりが違うと評判。春雨を使った「麻辣湯(マーラータン)」は女性にも人気。
神奈川県横浜市南区浦舟町1―8
℡045・309・8286
(日刊ゲンダイ2018年2月24日付記事を再編集)
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