「豚バラ肉のビール煮込み」うま味の秘密は西洋のかつおぶし

コクハク編集部
更新日:2022-04-04 06:00
投稿日:2022-04-04 06:00
 伝説の達人に聞く、男子が泣いて喜ぶおつまみ。題して“ダンツマ”。今回は東京・人形町のビストロ「ラ ブーシュリー グートン」の郷卓也さんに、玉ねぎの甘味と、ビールのほろ苦さが絶妙な「豚バラ肉のビール煮込み」のレシピを教えていただきました。

ビールに漬け込み、ビールで煮込む!

 ビールに漬け込み、さらにビールでことこと煮込んだ豚バラ肉はホロリと軟らかく、じっくり炒めた玉ねぎの甘味と、ビールのほろ苦さとコクを感じるソースも実に濃厚。

「あめ色になるまでソテーした玉ねぎがダシ代わり。これがおいしさの決め手です。最後にマスタードを少し加えるのがポイントで、辛味ではなく酸味を加えるため。ソースの味がキリリと引き締まります」

 とはいえ、あめ色玉ねぎはハードルが高いと思う人がほとんどですよね。ですが、玉ねぎをスライスしてひたすら炒める作業は、日常の雑念を振り払ってくれ、輝くようなあめ色の玉ねぎを目の当たりにしたときの達成感と恍惚感たるや! だまされたと思って一度やってみてください。

 洋食の世界では重宝されているストック調味料で“西洋のかつおぶし”と呼ばれるほど。料理にほんの少し加えるだけでうま味やコクがグンとアップしますよ。

 冷蔵庫で3日、冷凍で1カ月はもつので、たっぷり作って常備しておくといいですよ。カレーやハンバーグも、これでプロの味に早変わり!

【材料】(4人分)

・豚バラ塊肉 600グラム
・ビール 700ミリリットル
・ローリエ 1枚
・タイム 2枝分
・サラダ油 適量
・塩、こしょう 適量
・マスタード 大さじ1

【あめ色玉ねぎ】
・玉ねぎ(1個250グラム) 3個
・サラダ油 大さじ2
・黒砂糖 15グラム

【付け合わせ】
・菜の花(塩茹で) 適宜
・じゃがいも(塩茹で) 適宜
・オリーブオイル 適宜

【レシピ】

(1)豚バラ塊肉は4分の1にカットし、ジッパー付き保存袋に入れてビールを注ぎ1日置く。

(2)あめ色玉ねぎを作る。玉ねぎは繊維に沿って薄くスライスし、サラダ油大さじ2を熱した厚手の鍋で強火で炒める。玉ねぎ全体に油がまわったら中火に落とし、あめ色になるまでじっくり炒め、仕上げに黒砂糖を加えてよく混ぜ溶かす。

(3)1の豚肉を取り出し、水けを拭き取る。鍋にビールを入れて火にかけ、沸騰したらアクを取って火を止める。

(4)フライパンにサラダ油を中火で熱し、3の豚肉の表面に焼き色をつける。

(5)鍋に4の豚肉を入れ、2のあめ色玉ねぎ、ローリエ、タイムを加え、ふたをして極弱火で2時間ほど煮込み、最後に表面に浮いてきた脂をていねいに取り除く。

(6)豚肉を取り出して皿に盛り、残った玉ねぎと煮汁に塩、こしょう、マスタードを加えて強火で煮詰め、ソースとしてかける。付け合わせは、今回は塩茹でにした菜の花とじゃがいもにオリーブオイルと塩をかけ、電子レンジで軽く温めたものを。

本日のダンツマ達人…郷卓也さん

▽郷卓也(ごう・たくや)
 1982年、東京都出身。高校卒業後、洋食店での勤務をきっかけにフランス料理を志し、20歳のときにフランスで2週間食べ歩く。帰国後、東京・丸の内「ブラッスリーオザミ」のオープニングスタッフとして入社。3年間の修業後、渡仏して2年間修業。帰国後、六本木「ブーケ・ド・フランス」で研さんを積み、恵比寿「ル ビストロ」のシェフを経て、2015年に人形町に「ラ ブーシュリー グートン」をオープン。

▽ラ ブーシュリー グートン
 店名の「ブーシュリー」は「肉屋」、「グートン」は「食べる」を意味するフランス語。古代種豚の中ヨークシャーのほか、交配種のLYB豚、希少な満州豚や国産のマンガリッツァ豚など、常時3~4種類の豚肉料理が楽しめるビストロ。ワインはすべてフランス産で、ワインのセレクトとサービスを担当するマネジャーの藤田一さんの軽妙なトークも楽しい。

東京都中央区日本橋富沢町10-15 勢州屋本店ビル1階

(日刊ゲンダイ2020年2月14日付記事を再編集)

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